手法を選り好みしない。(五輪書)

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本日も宮本武蔵『五輪書』から役立つ知恵をお届けしたい。

「道具以下にも、かたわけてすく事あるべからず。」

(宮本武蔵『五輪書 地の巻』より)

意訳すると、道具を選り好みするなということ。

戦国時代はさまざまな武器があった。例えば、弓や槍、剣、鉄砲など。

しかしながら、どれか好みや偏りができてしまうと、局面によっては負けてしまうから注意せよと。どれも好き嫌いなく使えた方がいいのである。

なぜ?

というと、局面によって、有利不利が変わってくるから。敵との距離があれば弓が有効であろう。ところが近距離であれば弓は不利で、剣の方が有利になるだろう。

戦局に応じて使い分けねばならないから、使える武器は選り好みしてはならないのである。宮本武蔵いわく、どれも鍛錬する必要とのこと。

 

これは、経営でも投資でも全く同じことが言える。例えば、投資でいえば、さまざまな手法がある。ファンダメンタルズ派とテクニカル派など。どちらかに偏る投資家が多い。ところが、金持ち父さんシリーズで有名なロバートキヨサキは著書『金持ち父さんのパワー投資(筑摩書房)』にて、両方使えなければ良い投資家にはなれないと言っている。

また、投資戦略も局面に応じて有利不利が出てくる。例えば、逆張りバリュー投資が有利な時期もあれば、トレンドフォローが有利な時期もある。選り好みをしなければ両方で利益を上げることができる。

 

私は趣味で麻雀(オンライン)をよくやるのだが、人によって手法に偏りやこだわりがあったりする。例えば、「鳴くか鳴かないか?」など。麻雀で鳴くとは?わかりやすくいえば、「他者」が捨てた牌を使って、手を進めることである。

「鳴くか鳴かないか」は好みやアイデンティティで偏りが出たりする。中には「絶対鳴かない!」「鳴いたら負け」みたいに頑なに鳴くことを拒む人もいる。

が、本当に麻雀が強い人は、局面に応じて、鳴いたり鳴かなかったりを使い分けることができる。そこに変なこだわりや囚われはない。

将棋だってそう。藤井聡太君があれほど強いのは、手法にこだわりや偏りがないからである。いわば「無形」であり、水のようである。対戦相手によって、自由自在に変化できるのである。こういう人は強い。

 

経営も同様。変なこだわりや偏りは捨てた方がいい。例えば、私が独立起業した2000年代の前半の頃。まだまだ世の中は、インターネットを商売に使うかどうか?二分していた。「これからはインターネットの時代だ!」という経営者もいれば、「インターネットなんて使えない。結局、アナログがいい」といって、かたくなにインターネットをビジネスに活用することを拒む経営者もいた。

「メルマガ?そんなものやるものか!」「SEO対策?やってもどうせお客さんなんて来ないよ」と。

ところが、その後どうなったか?

インターネットを活用できない経営者はどんどん淘汰されていった。今ではインターネット経由で物が売れたり、予約が入ったりするのは当たり前となった。ちなみに当時は「高額商品なんてインターネットで売れるわけない」と言われていた。が、今では高級腕時計や高級車、不動産ですらインターネットで売れてしまう時代である。

 

このように経営でも投資でもしっかり儲けたければ手法を選り好みしてはいけない。もし、新しい手法が流行ったら、先入観なく取り組まなければならないのである。成果を出したいなら、こだわり、とらわれ、偏りは捨てることが肝要だ。

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