頂点が来たら後は落ちるのみ。亢竜悔いあり。(易経)

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本日は「易経」から。

易経?占い?と思われがちだが、実はそんなことはない。

易経を「時の流れ」を知る教えとわかると、途端に活用域が拡がる。

経営にも時の流れがある。ずっといつまでも良いことはないし、かといって、ずっといつまでも悪いということもない。

例えば、ヒットした商品もやがては衰退したりする。経営者だってそう。勢いがある時もあれば、耐え忍ぶ時もある。

「春夏秋冬」というとわかりやすいか。

易経を知ると、経営や投資においての重要なシグナルや兆しを感じ取りやすくなる。

さて、今日はこちら。

「亢竜悔いあり。」

(易経)

わかりやすく言えば、昇りつめた竜は下るのみということ。

頂点を極めたら後は衰退するから後悔するよという戒めである。

栄枯盛衰。盛者必衰。

「奢(おご)れるもの久しからず」は『平家物語』の有名な句。

これを経営に当てはめるなら、ずっと好調な時期は続くわけがないし、ヒット商品が永遠に売れ続けることもないということ。

しかし、多くの経営者は、ちょっと商品がヒットしたり、経営で好調が続くと「これでずっとイケる」と思ってしまうから注意が必要だ。

ずっと栄華が続くと思い込むと「亢竜悔いあり」の通り、後々、下降してくると後悔してしまうだろう。そうやって萎んでいく会社を私は何社も何社も見てきた。

そして、肝心なことは、衰退してから手を打とうと思っても「時すでに遅し」ということである。

 

例えば、野球のピッチャーなら、若い時はストレートに伸びがあってグイグイ押せる。多少コントロールが悪くても、まっすぐのキレで乗り切れたりする。が、それで勝てるうちは良いが、いずれ、年齢の衰えと共に、ストレートのキレも落ちてくる。

なので、賢明なピッチャーは、若くて力があるうちから、変化球やコントロールを磨くことに精を出す。パワーが衰えても大丈夫なように準備しておくのである。晩年も活躍できるピッチャーはこの手のタイプが多い。

 

経営も同様で、好調なうちに「冬の準備」をしておくことが肝要である。

例を挙げると、弊社のクライアントで、契約当初は不動産の仲介業をやっていた。もう10年以上も前のことである。その時は非常に好調だったが、易経の亢竜にならないよう次の手を打つように助言をした。

彼は良い感性の持ち主で、優秀だったので、その重要性をつかみ取り、「不動産投資」の方を磨いていったのである。自らが大家になる方へと「川上シフト」していったのだ。結果として、不動産仲介業は衰えてしまったが、不動産投資の方が堅調に伸びていった。

もし、あのまま不動産仲介業にあぐらをかいていたらどうなっていたか?しがみついていたらどうなっていたか?考えるだけでもゾッとする。

まさに彼は「時の兆し」をセンス良く掴み取っていったといえるだろう。亢竜になることを避けることができた好形である。

このように、好調な時ほど身を引き締めること。次の打ち手を考えておくこと。決して、好調にあぐらをかいていてはいけない。亢竜になってからでは遅い。亢竜になる前にやるべきことをやっておこう。

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