今日は老子から新規事業立ち上げや起業のヒントを。
まずはこちらをご覧いただきたい。
「難(かた)きをその易(やす)きに図(はか)り、大をその細(さい)に為す。」
(『老子 第六十三章』より)
どういう意味か?
難しいことも易しいことから始まり、大きいことも細かいことから始まるということ。
例えば、企業で大不祥事や大事件があったとする。ところが、よくよく調べてみると、その前兆らしき小さな事件などが過去にあったりする。
もし、その小さな事件の時に気づき、修正していたら、大きな問題には発展しなかったはず。
老子はそういった大事件の前の小さく細かい予兆を見逃すなと警告しているのである。
中学生の頃、私は野球部に入部した。すぐにでもバッティング練習をして打ちまくりたかった。
が、最初の頃は明けても暮れてもひたすら「バント練習」の毎日だった。
これなどもまさに「易き」から始めることの大切さを説いている。いきなりバットを振り回してホームランを打つことを狙ったらどうなるか?基本は身につかない。荒々しくなってしまっただろう。野球が難しすぎて嫌になってしまったかもしれない。
それよりは、バントを着実に身につけてから、バッティングの習得に至る方が遠回りのように見えて、実は上達は早いのである。
これは、起業や新規事業立ち上げも同様である。最初から難しいことをやってはならない。
まずは、着実にできることから始める。それで小さな勝利体験や成功体験を積み重ねていくことである。
例えば、今でこそ多くの人が当たり前のように使っているFacebook。最初はマークザッカーバーグ氏が通っている大学内でのオンラインコミュニケーションツールとして作ったことが発端である。
その際、プロフィール写真をアップしたり、趣味趣向を自由に書き込んだりできるようにした。これがFacebookの始まりである。
まさに最初は「易き」から始まっているのだ。何も難しいことを最初からやったわけではない。
投資の神様と言われるウォーレンバフェット氏だって、今でこそ世界長者番付上位にいつも君臨しているが、一番初めのお金儲けは6歳の頃。近所にチューインガムを売ったことがはじまりだ。
それから、初めて株式投資をしたのは11歳。なんと最初は120ドルという小さい額からスタートしている。今では1497億ドル(2025年現在)に膨れ上がっているが。
やはり、これなんぞも「易きこと」から始まった好例といえよう。
起業が難しいと思う人は多いが、それは初めから「難しいこと」をやろうとするからである。まずは、バフェットのようにチューインガムを近所で友達に売ることから始めることが大切だ。野球で言えばバントの練習。最初はできそうなことをやる。それで、勝利体験や成功体験を積むこと。その小さな成功体験は複利効果で膨らんでいく。
老子いわく、それがいずれは「大事」に至るとのことである。